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【3足1,000円の靴下は作りません】どうせ働くなら感謝されるやり方がいい

2025.07.29

「3足1,000円の靴下」

おそらく、ほとんどの人が一度は手に取ったことがあると思う。

安くて手に入りやすくて、そこそこ使える。まさに最強の”コスパ”だ。

でも実は──

僕たちのような靴下づくりをしている身からすると、ちょっとだけ困る存在でもある。

■驚異的な価格の裏にあるもの

まず最小に伝えておきたいのは「3足1000円の靴下」が悪いという話ではない。

むしろ、あの価格で供給し続けていること自体、すごい企業努力の結晶だと思う。

いったいどこで作られているのか──

多くはアジア圏の工場。日本よりも人件費が安く、何百台といった編み機といった大量生産の体制が整った場所で、効率よく作られている。

ここからは、あくまで僕の憶測であることを留意いただきたい。

大量生産の現場で求められるのは「質」よりも「量」

どれだけ速くどれだけ多く、そしてどれだけ安く

その勝負の中で、生産現場は常に納期と戦い、価格交渉にさらされ、そのプレッシャーはどんどん下請けまで波及していく。

以前の記事で書いたように、靴下を作りには多くの工程があるため、その工程ごどで同じプレッシャーを強いられることになる。

だた、何度も言うがそれが悪いとは思わい。実際にそういった靴下を必要としている人がいて、一定の品質もクリアしているわけだから。

問題は──

僕たち自身が、そのやり方を「好きかどうか」っていうところかなと思う。

■好きか、好きじゃないか

靴下の作り方に正解なんてない。

大量に作って、安く届ける。そのおかげで多くの人の足元が守られているのも事実だ。

でも、僕たちは──
やっぱり好きになれない。

大量にこなすより、少量でもちゃんと作りたい。

時間はかかっても手間はかかっても「いいモノづくり」にこだわっていたい。

それが、僕たちの“好み”だ。

■なぜ、少量でも”いいモノ”をつくるのか

僕たちがいいモノを作ることにこだわる理由はいくつかある

創意工夫細かいこだわりを詰め込むことができる

・決して安くないからこそ、お客様もしっかり調べて、すごく考える

・購入前に「これはどういうところがいいの?」と聞いてくれる

・そのやり取りの中で、使い方価値を一緒に考えることができる

・実際に履いて「すごくよかった。買ってよかった」と言ってもらえると、心から嬉しい

・そして何より──自分たちがつくった靴下に、ちゃんと愛着が持てる

そんな風に、お客さんと近くで向き合える靴下づくりが、僕たちは好きというわけだ。

■広陵町にはいろんな”好き”がある

奈良県広陵町には本当にたくさんの靴下工場がある。

そして、それぞれの会社にそれぞれの「好きなやり方」がある。

量をこなすのが得意なところもあれば、機能性に振り切っているところもある。

ファッション性を重視するところもあれば、ひたらすら品質を突き詰めるところもある。

だからこそ──

どんな会社で働くかよりも、「どんな価値観の会社で働くか」が大事になってくる。

靴下づくりのスタイルって実はものすごく幅が広い。

自分の”好き”会社の”好き”がズレていると、毎日がちょっとしんどくなる。

■僕たちは「いいモノを作り続ける」

僕たちはこれからも「少量でも、ちゃんといいモノを作る」という姿勢を変えるつもりはない。

効率ではない。価格でもない。

履く人のことを想ってつくる”ことに、誇りを持ち続けたい。

「3足1000円」があって「1足2000円」もあっていい。

大切なのは、その靴下に込められた想いと作る人の信念だと思う。

そして、僕たちはこれからも、自分たちの”好き”を大事に靴下を編み続けていく。